賃料査定の方法、教えます!②

2023.02.01

宮崎 琢成

  • 家賃
  • 査定

アパート経営の味方(関西)の宮崎です。

前回賃料査定方法を書きましたが、今回はその中の「比較表分析」について紹介します。

改めて、比較表分析は類似物件の家賃と設備等の【特徴】を比較して家賃を算出する方法です。

この方法のメリットとは、物件の特徴や㎡単価毎の比較ができる為、他の方法と比べて比較的データに基づいた査定ができます。

デメリットは、査定にほかの方法より手間がかかる点と、データに基づいてはいますが、あくまで主観であることには注意が必要です。

上図が、比較表分析の例です。

それでは分析表の作成方法をステップ毎に紹介していきます。

1.査定物件の概要を作る

2.査定物件の特徴(比較項目)を決める

3.類似物件(比較物件)を特定、その特徴(比較項目)の評価

4.比較項目の賃料調整

5.賃料調整の総額計算

6.調整家賃の分析

■1.査定物件の概要を作る

最初のステップは、査定物件の概要を作成することです。

物件の住所や最寄り駅、㎡数や構造等を作成してください。

各条件を類似物件と比較しやすくする為です。

また全く違う物件(1K⇔2LDK等)と比較することを防ぐためです。

■2.査定物件の特徴(比較項目)を決める

査定物件の概要を作成したら、次はその物件の特徴(比較項目)を決めてください。

この項目は【良い・普通・悪い】、サンプルでは【◎・〇・△・×】等で評価していく為のものです。

選ぶ項目によって査定額が変わりますので、できるだけ客観的な項目を設定することをおススメします。

■3.類似物件(比較物件)を特定、その特徴(比較項目)の評価

最低物件の特徴を決めたら、次は類似物件(比較する物件)のデータを集めます。

査定物件と同じく物件の住所や最寄り駅、㎡数や構造・㎡当たりの賃料単価を記入して下さい。

類似物件は、近隣の競合する物件が分かる場合は、その物件を。

その他SUUMOやHomes、athomeなどでデータをとっても良いですね!

比較する物件はサンプルでは4件ですが、できるだけたくさんの類似物件をピックアップしてください。

ここで注意点ですが、かならず査定する物件、比較する物件同士が似ている物件をピックアップしてください。

タイプの違う物件を比較すると特徴も異なるため査定が難しくなります。

比較物件を選定したら、次は各物件の特徴(比較項目)毎に【◎・〇・△・×】等で評価してください。

※悪い・普通・良い・非常に良い等の評価でもOK。

■4.比較項目の賃料調整

それでは各比較項目の違いを比べていきましょう。

【◎・〇・△・×】等で評価した項目の隣の欄に、入居者がその特徴にいくら払うか、またはその特徴が無いと払わないであろう額を記入します。

・査定物件の特徴が、類似物件よりも優れているときは、プラスの額を記入。

・査定物件の特徴が、類似物件よりも劣っているときは、マイナスの額を記入してください。

この金額は、人によってどうしても差が出てしまうので、主観をできるだけ排除できるように近隣のデータを参考にすることも大切です。

■5.賃料調整の総額計算

特徴毎の賃料調整をおこなったら、調整家賃の総額を類似物件ごとに計算します。それを実際の家賃に調整家賃を足し引きしてください。

調整後の実効賃料が導き出せます。

■6.調整家賃の分析

各物件の調整実効賃料がこれで出せました。

いよいよ、査定物件の賃料を導き出します。

各物件毎の調整実効賃料の【平均値】【中央値】を計算します。

サンプルの表を基に下記の用に計算してください。

・平均値計算:(66,000+63,100+59,900+58,500)÷4物件=61,875円

・中央値計算:一番高い値と一番低い値の間の中間の値です。

 サンプルでは63,100円と59,500円の二つです。

 類似物件の数が奇数の場合は中間の値を類似物件の数が偶数の場合は

 中間の値の合計を2で割ってください。

 今回のサンプルでは物件の数が偶数ですので...

 (63,100+59,900)÷2=61,500円

 ただ平均値より下回っているのでサンプルでは高い方の値を採用し

 63,100円としました。

このように2つの値を計算しました。

この二つの値の内、高い方を私は採用するようにしています。

今回の平均値と中央値を比べると、平均値61,875円<中央値63,100円となるので

査定家賃:63,100円としました。

次は計算した査定家賃65,100円を、査定物件の㎡数で割り㎡賃料単価を計算します。

査定物件の㎡数は【30.92㎡】ですので

・63.100円÷30.92㎡=2,042円/㎡となります

そして最後に、比較類似物件の㎡賃料単価と比較し査定賃料に大きな誤差が無いか検証します。

比較類似物件の㎡賃料単価の平均値と、査定物件の㎡賃料単価を比較します。

サンプルを参考に...

(2,355+2,172+1,872+1,853)÷4物件=2,063円/㎡

先ほど計算した査定物件の㎡賃料単価と、比較類似物件を比較して大きなずれが無いか確認してください。

査定物件単価:2,042円/㎡

比較類似物件:2,063円/㎡

大きなずれは無いようです。

これで比較表分析は完了です。

ここで導き出された賃料を実際に賃料を決める際のベースにしてください。

まとめ

1.査定物件の概要を作る

⇒物件の住所や最寄り駅、㎡数や構造等。

2.査定物件の特徴(比較項目)を決める

⇒設備や条件等、比較する項目。各特徴を◎・〇・△・×で評価。

3.類似物件(比較物件)を特定、その特徴(比較項目)の評価

⇒査定物件の競合となる物件をピックアップ。必ず類似した物件に限る!

各特徴毎に評価する。

4.比較項目の賃料調整

⇒各特徴毎に入居者はいくら払うか、いくら払いたくないかを想定し査定物件の特徴が、類似物件よりも優れているときは、+の額を。

劣っているときは、ーの額を記入する。

5.賃料調整の総額計算

⇒調整額の総額を出します。計算間違いに注意!

6.調整家賃の分析

⇒各調整賃料の【平均値】【中央値】を出す。賃料の高いほう取る方が良い。

㎡賃料単価を計算し、類似物件の㎡賃料単価と比較し、大きなずれが無いか検証。

すこし手間が掛かりますがデータに基づく査定ができます。

またベースとなる賃料が分かれば、低すぎたり、高すぎたりすることが防げます。

また今後どういった特徴を持たせれば賃料が上がるのか分かりやすいため、リフォーム内容などにも反映できますので、是非作成してみてください。

比較表分析はアパート経営の味方に相談頂ければ、作成・相談も可能です☆